高橋 美樹子

薬学部 薬学科教授
薬学研究科 薬学専攻教授
Last Updated :2025/10/07

■研究者基本情報

学位

  • 薬学修士, 東京大学
  • 博士(薬学), 東京大学

研究キーワード

  • 一次繊毛、中心体
  • 細胞周期
  • 細胞生物学

研究分野

  • ライフサイエンス, 機能生物化学
  • ライフサイエンス, 分子生物学
  • ライフサイエンス, 細胞生物学

■経歴

経歴

  • 2010年10月 - 現在
    帝京平成大学, 薬学部, 教授
  • 2007年04月 - 2010年09月
    神戸大学, 大学院 理学研究科 生物学専攻、および理学部 生物学科, 講師(兼任)
  • 2005年10月 - 2010年09月
    神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 講師
  • 2000年08月 - 2005年09月
    神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手
  • 1997年04月 - 2000年07月
    神戸大学, バイオシグナル研究センター, 非常勤講師
  • 1983年04月 - 1997年03月
    ヘキストジャパン(株), 医薬総合研究所, 研究員

委員歴

  • 2012年04月 - 2015年03月
    学術誌編集委員, 日本薬学会

■研究活動情報

論文

MISC

所属学協会

  • 日本細胞生物学会               
  • 日本薬学会               
  • 日本分子生物学会               
  • 日本生化学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • CG-NAPによる中心小体サテライト制御を介した一次繊毛形成機構
    基盤研究(C)
    帝京平成大学
    2019年04月01日 - 2023年03月31日
    当該年度は引き続きCG-NAPが中心小体サテライト(CS)の細胞内局在をどのように制御しているのかを重点的に解析した。はじめに、種々のPCM1欠失変異体を作製し、CG-NAP結合領域の特定を行った。その結果、734-1101アミノ酸領域にまで絞り込んだ。この欠失変異体を過剰発現すると、ゴルジ微小管の形成へほとんど影響を与えず、内在性PCM1の中心体とゴルジ体への集積および一次繊毛の形成を抑制したことから、PCM1とCG-NAPの結合を特異的に阻害していると考えられた。これにより一次繊毛形成においてPCM1とCG-NAPの結合が必要であることが証明できた。また、野生型細胞でPCM1は微小管の再形成過程にゴルジ微小管上にロードされるのに対し、CG-NAP KO細胞では中心体微小管にのみ局在することも見出した。したがってCG-NAPはPCM1に対して直接、またはゴルジ微小管を介して作用することで、PCM1の中心体近傍への集積を抑制している可能性が考えられた。また、このようなCG-NAP依存的なPCM1の局在機構はマウスC2C12細胞やHela細胞などの多種細胞においても保存されていることもわかった。
    さらには、CG-NAP KO細胞とオートファジーの関係についても解析した。CG-NAP KO細胞では血清存在下においてオートファゴソームの過剰な形成が観察されたことに加えてオートファジー活性化の指標となるLC3-IIの産生とオートファジーの基質であるp62の過剰な分解が観察された。この結果からCG-NAP KO細胞ではオートファジーが亢進している可能性も考えられた。
  • 中心体複製開始機構の研究
    若手研究(B)
    2013年04月01日 - 2016年03月31日
    申請者は、本研究において(1) kendrinのカルボキシル末端領域と中心小体複製開始に関与するCep152のカルボキシル末端領域が相互作用する事を明らかにした。また、(2) Cep152は、G2/M期では中心体にほとんど局在が見られず、細胞質分裂が起きる頃に再び中心体に集積することがわかった。(3) siRNA処理によるkendrinの発現抑制により、Cep152の蛋白質発現量が増加し、中心体に効率よく集積できることがわかった。以上より、kendrinが中心体から脱離する事でCep152が効率よく中心体へと集積し、新規中心小体複製を開始する機構がある可能性を明らかにすることができた。
  • タウ蛋白とリン酸化酵素複合体の相互作用を介した認知症脳神経細胞死の病態解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2011年04月28日 - 2015年03月31日
    一次性・二次性タウ病をはじめ変性型認知症患者脳組織には、タウ蛋白が異常代謝・重合を受け細胞毒性を示すオリゴマーが、或いは細胞内封入体(神経原線維変化、タングル)が形成され、アルツハイマー型認知症(AD)では認知症症状・神経回路障害の程度とタングル形成程度との相関が報告されている。ADの病態解明および根本的治療法開発に資するため、タウ代謝初期段階の異常リン酸化に関しリン酸化バランスの破綻や、その反応部位の制御異常の視点から、タウ代謝上流や細胞周期制御を含めリン酸化酵素・脱リン酸化酵素複合体に関わるシグナル伝達異常を検討した。
    タウを生理基質とする複数の蛋白リン酸化酵素群や、蛋白脱リン酸化酵素群が種々の組合せで会合し、極性をもつ神経細胞の種々の細胞内分画にその反応が厳密に制御されている巨大なscaffold分子を中心とする活性複合体とタウ蛋白代謝あるいは細胞周期制御との関連を、正常対照高齢者・AD患者の脳組織を対象に解析した。特にタウ代謝との関連が深いと考えられるPI3K-PKB経路を介した細胞内情報伝達を分析して同経路におけるPDK1・PKC delta・p70 S6K・PKBを介したCHK1や遺伝子転写を介しタウ発現に関与するPTBと、異常タウ代謝との関連を、またタングルと同様にAD脳において特徴的な神経細胞内アクチン封入体形成とS6Kとの関連を世界で初めて解明した。細胞内の活性複合体については、セパラーゼの基質となり細胞周期制御に関与する可能性を国際誌に発表し、さらに細胞周期制御関連分子やタウ遺伝子転写関連分子とタングル形成との関連を世界で初めて明らかにし、国際学会で発表してきた。加えて、皮質神経細胞の特性と考えられる神経可塑性に関し、ミラーセラピーを介する運動学習機序、プロソディ障害発生機序を解析すると共に、国内の入院認知症患者の心理行動症状への対応を調査している。
  • タウ蛋白リン酸化シグナル巨大複合体を介する変性認知症の神経細胞死に関する病態解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2014年 - 2015年
    主要な認知症であるアルツハイマー型認知症(AD)あるいは、前頭側頭葉変性症(FTLD)患者脳組織には細胞内封入体として、神経原線維変化(タングル)が神経細胞核周囲および樹状突起に蓄積することが知られており、このタングルの主成分であるタウタンパク質の異常代謝が、休止期神経細胞の細胞周期再突入や変性・死滅を惹起している可能性が示唆されている。そこで本研究では、タウと細胞周期制御に関わるシグナル伝達分子との関係を明かにするべく実験を行った。
    種々の細胞周期関連シグナル伝達分子の特異抗体を用いて免疫組織学的解析を行った結果、AD脳においては、DNA損傷チェックポイントなどさまざまな細胞周期調節に関与していることが知られているChk1分子の細胞内局在に変化が認められ、Chk1とタングルとの共局在も観察された。また、細胞周期制御に関与し、タウのリン酸化酵素群のscaffoldして知られるタンパク質と、Chk1が結合することがわかった。種々の培養細胞を用いた実験から、Chk1の発現量やリン酸化レベルが、タウによって調節されていること、さらにタウの発現誘導もまたChk1によって調節を受けることも明かとなった。すでにタウリン酸化酵素として知られ、細胞周期調節への関与も示唆されている70-kDa S6K についても、タングルとの関係について解析を行ったところ、PI3K-PDK1経路の標的とされているS6KのT229のリン酸化が、AD脳において、AT8陽性のタングルと共局在していること見いだした。これらの知見は、タウ/タングルが関与する病態のメカニズム解明の一助となることが期待される。その他、すでに細胞周期調節への関与が示唆され、AD脳においてタングルと共局在することが報告されているPKN1のアイソフォームであるPKN2およびPKN3について、脳における発現量を測定し、局在について検討を行った。
  • 中心体複製ライセンシング機構におけるセパレースおよびその基質蛋白質の機能解析
    基盤研究(C)
    帝京平成大学
    2011年 - 2013年
    中心体は分裂期に双極紡錘体を形成して染色体の均等分配に重要な役割を果たす。そのために中心体の複製は細胞周期につき1回だけ、細胞分裂を経た後に開始できるというライセンシング制御が想定されている。その分子機構は未解明であり、染色体分離に関わるタンパク質分解酵素セパレースが必要であることは知られていたがその基質も不明であった。本研究によって、中心体タンパク質kendrinが中心体におけるセパレースの重要な新規基質であり、分裂期におけるkendrinの限定分解とそれによる中心体からの解離が、次の中心体複製開始すなわちライセンシング機構に必要であることを世界で初めて明らかにした。
  • 認知症脳におけるタウ蛋白リン酸化・脱リン酸化酵素複合体に関する病態解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2008年 - 2010年
    本研究は、アルツハイマー型あるいは前頭側頭型認知症患者脳に蓄積する細胞内封入体である神経原線維変化(タングル)の主成分であるタウ蛋白の代謝異常と細胞内信号伝達機構との関連解明を目的としている。研究の対象は、神経疾患を持たない正常高齢対照者群12例および弧発性アルツハイマー型認知症患者群13例、合計25症例の死後剖検ヒト脳組織であり、それらを形態学的、生化学的に解析した。正常脳でFKBP12分子やPTEN分子は神経細胞体、核内や樹状突起、軸索に顆粒状に多く分布することが明らかとなった。一方、AD脳組織でFKBP12やPTENは全体的に減少していたものの、角回・嗅内野・海馬体で多発するタングル、あるいは老人斑内外に出現する変性神経突起やスレッドと呼ばれる異常構造、一部の反応性アストログリアに多量に蓄積していることが判明した。以上の結果から、FKBP12あるいはPTENが神経細胞やアストログリアの細胞骨格構築に関与し、AD変性ニューロン内部では神経細胞核から細胞質あるいはタングルへの再分布・蓄積が明らかになると共に、それに続くPI3K信号伝達経路の異常、核の機能障害への関与が示唆された。
  • タウ蛋白機能を制御する活性複合体を介した認知症脳神経細胞変性の病態解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2006年 - 2007年
    本研究課題では、アルツハイマー病をはじめとする変性性認知症の神経細胞変性・神経細胞死の背景に直接関連すると考えられているタウ蛋白代謝異常の病態を、タウ蛋白機能に影響するリン酸化状態を調節する複数の蛋白リン酸化酵素や脱リン酸化酵素と、あるいは細胞内輸送関連蛋白等それら酵素の関連分子と会合する巨大scaffold分子との相互作用の視点から解析した。
    巨大な細胞内Centrosomal and Golgi PKN anchoring protein (CG-NAP)分子あるいは類似構造をもちCG-NAPと複合体を形成するkendrin分子と、複数の蛋白リン酸化酵素・蛋白脱リン酸化酵素、アクチン・タウ分子など細胞骨格関連分子、細胞内輸送関連分子との細胞内相互作用を、高感度免疫組織化学法を用いて形態学的に解析した結果、認知症ヒト脳組織において神経原線維変化(タングル)にはCG-NAPのみが異常リン酸化タウ蛋白と共存し、kendrinは認められなかった。このことは、タングル形成と微小管による細胞内輸送機構との関連に示唆を与えた。加えて、蛋白脱リン酸化酵素の活性調節や細胞内蛋白の高次構造調節・会合・輸送等への関与が知られ、アミロイドAβ蛋白の細抱内ドメインに結合するFKBP12とタングルとの関連を明らかにした。また、Aβ可溶性オリゴマーによって惹起される神経細胞死過程への関与が判明しつつあるsphingomyelinase、 sphingosineや、神経細胞変性に関与するceramideなど脂質代謝に関与する重要分子の変性神経細胞内分布を解析し、タングルとの関連を明らかにしつつある。さらに認知機能障害を示すParkinson病や統合失調症において、前者の前頭葉機能障害を解析すると共に、後者の前頭葉皮質における遺伝子発現異常を解析し蛋白リン酸化酵素ERKによりリン酸化調節を受けシナプス可塑性と関連するKLF5の発現低下などを報告した。
  • 情報伝達分子アンカリング蛋白質による中心体・ゴルジ体の機能制御
    基盤研究(B)
    神戸大学
    2005年 - 2007年
    本研究では、中心体とゴルジ体に局在する巨大アンカリング蛋白質CG-NAPの解析を通して中心体・ゴルジ体の機能制御、特に中心体複製・ゴルジ体の断片化・再構築の分子メカニズムを明らかにすることにより細胞増殖・細胞周期制御機構の解明の一助とすることを目的とした。以下に得られた研究成果の概要を記す。
    1.CG-NAPのゴルジ体局在は微小管に依存し、またCG-NAPが微小管および細胞質ダイニンのサブユニットp150^Gluedに結合することを見出した。細胞の微小管脱重合あるいは細胞質ダイニンの活性阻害からの回復過程におけるCG-NAPの挙動等の解析から、CG-NAPは細胞質ダイニンに結合して微小管マイナス端側(中心体側)へ輸送された後にゴルジ体に局在することが明らかになった。
    2.CG-NAPのゴルジ体局在を阻害した細胞においてゴルジ体が断片化することを見出した。このような細胞において細胞膜蛋白質の輸送や糖鎖修飾はやや遅れるものの起こることから、ゴルジ体として機能的なユニットは形成されていると考えられた。CG-NAPはゴルジ体のユニットが連結され、より機能的な一つのリボン状構造を形成する段階に必要であることが示唆された。
    3.複製後の2つの中心体は近接して保持され、M期の紡錘体極の形成に先立ちG2後期に中心体間の蛋白質複合体が蛋白質リン酸化酵素Nek2Aにリン酸化されることにより分離する。CG-NAPおよびkendrinの発現抑制により中心体分離の頻度が上昇し、またこれらが高リン酸化型で活性の無いNek2Aと結合することから中心体におけるNek2A活性の抑制制御に関わる可能性が示唆された。
  • タウ蛋白のリン酸化・脱リン酸化酵素複合体を介する痴呆脳神経細胞変性の病態解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2004年 - 2005年
    アルツハイマー型認知症(AD)や前頭側頭型認知症(FTD)では病態背景にタウ蛋白代謝異常が存在する。その下流で疾患進行に伴いシナプス変性を含む進行性機能障害を示しながら脳の広汎な神経細胞死に至る機序を明らかにするため、タウの機能調節に関与するリン酸化酵素(PKN・PKC・PKAなど)・脱リン酸化酵素(PP2B・PP2Aなど)と活性複合体を形成する巨大蛋白分子Centrosomal and Golgi PKN anchoring protein(CG-NAP)の培養ニューロンおよび脳内の分子局在を検討すると共に、タウ遺伝子異常などを持つ家族性認知症家系の病態病理を解析した。
    免疫組織化学法による解析の結果、初代培養ラット神経細胞、成体マウス・ラット脳組織、あるいは対照老人・AD・FTD患者の脳組織において、CG-NAPは神経細胞に限局して存在し、神経細胞内部では明らかな中心体局在を示さず、細胞体および神経突起近位部の細胞質に分布していた。また、ADでは老人斑内外の変性神経突起や神経細胞内原線維変化に、FTDでは腫大した変性神経細胞体に同分子は蓄積することを明らかにした。さらにPKCやPKN等の下流にあり細胞内蛋白合成に関与するp70 S6 kinaseがニューロン細胞質に粗大顆粒状に分布し、AD患者脳組織で老人斑や細胞内タングルなど特徴病理構造に蓄積することを発見した。
    家族性認知症に関する検討の結果、受容体型蛋白リン酸化酵素やスフィンゴ脂質合成関連酵素の遺伝子異常が示唆される認知症患者脳で広汎な神経細胞死とそれに先行するグリア細胞の炎症性活性化を明らかにした。また、FTD及びパーキンソニズムを臨床的特徴とする家族性認知症家系では、タウ遺伝子異常を発見すると共に前頭葉・側頭葉皮質と共に黒質・淡蒼球・視床下核など出力部を中心とする基底核回路系に強い神経・グリア細胞の変性を明らかにした。
  • アンカリング蛋白質CG-NAPのゴルジ体における機能解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2003年 - 2004年
    アンカリング蛋白質CG-NAPは中心体およびゴルジ体に局在するコイルドコイル蛋白質である。CG-NAPめゴルジ体における機能の解析を目指して、ゴルジ体局在機構を解析し、またそのゴルジ体局在を阻害してゴルジ体形成および小胞輸送系への影響を検討した。
    1.免疫染色法による観察よりCG-NAPはG2期後期からゴルジ体への局在が弱まり、Prophaseに入ると残存するゴルジ体断片から完全に解離した。
    2.CG-NAPの各種欠失変異体の細胞内局在を解析しアミノ末端領域がゴルジ体局在を司ることを見出した。この領域が分裂期特異的なリン酸化によりゴルジ体から解離する可能性について検討を行ったところin vitroでP1kにより効率よくリン酸化された。
    3.CG-NAPのゴルジ体局在領域を過剰発現させると内在性CG-NAPは中心体に残りゴルジ体からは解離することを見出した。この条件下で各種ゴルジ体蛋白質の局在を調べたところコントロールと比較して分断化された形態を示し、ゴルジ体の分断化が示唆された。また、発現させたGFP融合ゴルジ体マーカー蛋白質をライブイメージングにより観察したところ不安定な動きを示した。次に、小胞輸送系への影響をVSV-Gtsの輸送により検討したところ、小胞体〜ゴルジ体〜細胞膜への移行は阻害されなかった。しかしその速度は異なる可能性があり詳しい解析を行っている。
    4.RNAiによるCG-NAPの発現抑制を試みたところ、ゴルジ体局在は低下するが中心体には残る傾向がみられた。このような細胞で上記と同様にゴルジ体形成、小胞輸送の検討を行ったところ類似した現象が観察された。
    以上より内在性のCG-NAPがゴルジ体から解離すると、ゴルジ体の中心体近傍へ形成(輸送、融合、維持等のいずれか)が不完全で分断化されると考えられ、この過程にCG-NAPが関わる可能性が示唆された。
  • アンカリング蛋白質CG-NAPの中心体における機能解析
    基盤研究(C)
    神戸大学
    2001年 - 2002年
    アンカリング蛋白質CG-NAPは、中心体およびゴルジ体に局在するコイルドコイル蛋白質である。CG-NAPの中心体における機能解析を目指して微小管形成との関係を検討した。
    1.CG-NAPの中心体局在領域を同定し、そこをベイトとした酵母Two-hybrid screenを行ったところカルモジュリンが得られた。カルモジュリンは酵母において中心体(SPB)に局在し、これと結合するコイルドコイル蛋白質Spc110pはγ-tubulin ring complex (γTuRC)とも結合することにより微小管形成の起点を構成している。CG-NAPが動物細胞においてSpc110pと同様の機能を果たす可能性が考えられ、以下の実験を行った。
    2.ヒトγTuRCの構成蛋白質(GCP2、GCP3、γ-tubulin)のcDNAを調製し、CG-NAPとの相互作用を調べたところ、GCP2およびGCP3を介してγ-tubulinと結合した。
    3.CG-NAPの中心体局在領域と高い相同性を示すコイルドコイル蛋白質kendrinのcDNAを調製し、γTuRC構成蛋白質との相互作用を調べたところ、GCP2を介してγ-tubulinと結合した。
    4.特異抗体を用いた免疫沈降で、内在性のCG-NAPとkendrinは相互に共沈され、またGCP2やγ-tubulinとも共沈されたことから、これらの蛋白質は細胞内において複合体を形成していると考えられた。
    5.単離中心体からの微小管形成系において、抗CG-NAPおよび抗kendrin抗体処理により微小管形成の開始が阻害され、その阻害は相加的であった。
    以上より、CG-NAPとkendrinは中心体においてホモあるいはヘテロ複合体を形成し、さらにγTuRCと結合して微小管形成の起点を構成している可能性が示唆された。CG-NAPとkendrinの機能の差異等については今後の課題である。

■大学教育・資格等情報

主な担当授業科目名

  • 生理活性物質とシグナル伝達

資格、免許

  • 1981年08月01日
    薬剤師免許