一柳 峻夫
人文社会学部 観光経営学科 | 准教授 |
Last Updated :2025/06/19
■プロフィール情報
■業績リスト
論文
- 「18世紀ブリストルの大西洋貿易」 (修士論文)
単著, 本稿では、リヴァプール、ロンドンとともにイギリス奴隷貿易の中心であったブリストルの大西洋貿易を分析した。ブリストルの奴隷貿易は地理的にフランスの私掠船の襲撃を受けやすく、北米や西インドでの新市場開拓に失敗したことなどにより18世紀半ばまでに衰退し、世紀後半はジャマイカを中心とする砂糖の輸入が同港の貿易の中心となったことを明らかにした。, 1993年12月 - 「イギリス帝国の諸相 ―18世紀ブリストル商人の事例より―」
単著, 4の報告をベースに書き直した論文。英文要旨は以下の通り。
, 『帝京平成大学紀要』9-2, 59-70頁, 1997年12月, 有り - 「ブリストル商業史入門」
単著, 本稿はイングランド南西部の海港都市ブリストルの主要な図書館、文書館と利用可能な史料を紹介したものである。ブリストル中央図書館については、貿易統計の作成に利用したブリストル報告書を紹介した。ブリストル文書館については、サミュエル・マンクリーの書簡と船荷証券、ハーフォード親子の事業記録を紹介した。商人会館については、波止場台帳、貿易商協会の議事録を紹介した。, 『帝京平成短期大学紀要』15 , 2005, 63-69頁, 2005年03月, 有り - 「報告 リメディアル教育のための学力試験」
共著, 当短大在学生(1年生および2年生)を対象に高校化学Ⅰ、英語(英検2~3級レベル)および語彙・慣用句についての学力試験を実施した。その結果は、リメディアル教育の重要性を再認識させるものであった。英語に関しては、機械的な丸暗記で解けるきわめて初歩的な問題以外は概して正答率が低く、全体に英語力が低いことを再確認した。, 『帝京平成看護短期大学紀要』18, 2008, 31-41頁, 2008年03月, 有り - 「後期18世紀ブリストルの主要ヨーロッパ貿易商人」(英語論文)
単著, 本稿は、18世紀第四四半期のブリストルにおいてヨーロッパ内貿易の中心的な担い手となった人々の貿易パターン、職業、ライフサイクル、居住地域、財力などを分析し、彼らの社会集団としての特徴を明らかにしたものである。これらの分析結果は、ヨーロッパ貿易の参加者たちが地域エリートである大貿易商を含みつつも、社会的、経済的に多様であったことを示している。, 『帝京平成大学紀要』19(2008年)、15-37頁, 2008年03月, 有り
書籍等出版物
- 『国際商業』(深沢克己編著、ミネルヴァ書房、2002年)
共著, 第5章を執筆。18世紀のイギリス商業について、先行研究の豊富な大西洋貿易に比べてヨーロッパ貿易に関する研究は少なく、ミクロなレベルでの大西洋貿易との関係は十分に解明されていない。本稿では18世紀後半におけるブリストルのヨーロッパ貿易に焦点を当て、港湾、個々の商人の実務経営においてヨーロッパと新世界を含む多角貿易が重要な役割を果たしていたことを明らかにした。, ミネルヴァ書房, 2002年05月 - 『イギリス近世・近代史と議会制統治』(青木康編著、吉田書店、2015年)
共著, 第7章「ジャリット・スミス ブリストルの下院議員」(169-192頁)を執筆。
1756年から1768年にブリストルで下院議員を務めたジャリット・スミスの顧客関係、議員としての活動内容を分析し、彼が地域社会において豊富な人脈を構築しており、議会では地元利害のために尽力したことを明らかにした。, 吉田書店, 2015年11月 - 『商業と異文化の接触 中世後期から近代におけるヨーロッパ国際商業の生成と展開』(川分圭子・玉木俊明編著、吉田書店、2017年)
共著, 吉田書店, 2017年07月
その他研究業績
- 「18世紀ブリストル商人の世界-大西洋貿易の発達と人的ネットワークー」
単著, 1995年10月, 歴史学研究会西洋中世 近世史合同部会例会報告(1995年10月28日 明治大学駿河台キャンパス), 2の修士論文に大幅な加筆・修正を加えた原稿による口頭報告。
ブリストル商人の手紙類などから、大西洋貿易の発達とは、イギリス商人と植民地人との相互の信頼関係に基づいており、18世紀には、環大西洋規模での人的ネットワークが形成され、拡大したことを明らかにした。 - 「商人の世界と大西洋帝国-18世紀ブリストルの事例より-」
単著, 1996年05月, イギリス帝国史研究会報告(1996年5月18日 東京大学駒場キャンパス), 「イギリス帝国と大西洋世界」という統一テーマでのシンポジウムでの口頭報告。18世紀のイギリスは西インド諸島を中心とする重商主義植民地帝国を形成し、世界各地でフランスと戦争状態にあった(第二次百年戦争)。また、本国と植民地とは、前者が後者を支配し、搾取するという序列的で一方的な関係にあった。しかしながら、商人の手紙類や議会への請願などを読むと、そこには水平的で相互的な人的ネットワークからなる「商人の世界」が存在した。 - Bristol’s European trade in 1775-1800
単著, 2000年05月, Graduate seminar in history 1680-1830(2000年5月23日 オクスフォード大学リンカーン・カレジ), 前年にオクスフォード大学に提出した博士課程進級論文に、その後の調査を加えた原稿による口頭報告。
18世紀のイギリスについては従来大西洋貿易が重視され、この分野の研究が豊富な反面、アイルランドやヨーロッパとの貿易が軽視されてきた。大西洋貿易の一拠点とされたブリストルについても同じことがいえる。
このような状況を鑑み、筆者はブリストルの税関が作成したBristol Presentsを分析し、1775,80,91,1800年の同港のヨーロッパ貿易の趨勢と、それに携わった人々を明らかにした。 - ポール・スラック著「メトロポリスの勃興とロンドンの認識 1600~1750年」(翻訳)
共著, 2007年10月, 『江戸とロンドン』(近藤和彦・伊藤毅編、山川出版社、2007年)11-23頁。, 原題 Paul Slack, "The Rise of a Metropolis and Perceptions of London c.1600-1750".
本稿は、17世紀初めと18世紀初めの間にロンドンが、実態と同時代人の認識の双方において根本的に変化したと主張する。
この時期にロンドンの空間的なサイズと人口は急速に増大し、1750年までに同市はヨーロッパ最大の都市になった。こうした発展はメトロポリス内部の諸地域間に明確な社会的差異を生み出した。 - デレク・キーン著「時間と空間におけるロンドンの素材」(翻訳)
共著, 2007年10月, 『江戸とロンドン』(近藤和彦・伊藤毅編、山川出版社、2007年)121-138頁。, 原題 Derek Keene, "Material London in Time and Space".
本稿は、1600年のロンドンを物質的有機体としてとらえ、その空間的かつ時間的文脈の中で位置づけたものである。
ネーデルラントなどの大陸諸都市との関係、人口成長、移民、デザインや建築におけるヨーロッパ文化の流入、絹織物業やガラス製造業といった輸入代替産業の成立、石炭の使用による燃料革命といった問題が取り上げられる。 - 「ブリストル商人の事業展開:ハーフォード家の事例」
単著, 2009年11月, 国際商業史研究会例会報告(2009年11月21日 京都府立大学), 18世紀ブリストルの商人・銀行家であったハーフォード一族の事業について、エドワード・ハーフォード三世、ジョン・スキャンドレット・ハーフォードに焦点を当てて分析した。
彼らの事業記録からは、ハーフォード家の事業は銀行業、金属工業、ヨーロッパ貿易が中心であったことがわかる。これは、西インドとの砂糖貿易に特化したといわれる18世紀後半のブリストルにおいては異色であったが、当時のイギリス経済における成長部門にバランスよく投資しており、合理的な事業戦略であった。 - マイケル・ダフィー著「競合する帝国、一七五六~一八一五年」(翻訳)
共著, 2013年11月, 『オックスフォード ブリテン諸島の歴史8:18世紀 1688-1815年』(ポール・ラングフォード編、坂下史監訳、慶應義塾大学出版会、2013年), 七年戦争期からナポレオン戦争期にかけての英国がフランスとの植民地争奪戦争を勝ち抜いた国民動員のメカニズムの分析。 - 「ブリストル商人の事業経営:サミュエル・マンクリーとハーフォード家」
単著, 2014年03月, 比較都市史研究会第429回例会報告(2014年3月15日 早稲田大学社会科学部14号館 8階 804会議室), 18世紀のブリストル商人の多角経営について、大西洋貿易を中心としたサミュエル・マンクリーと金融業や工業、ヨーロッパ貿易に重心をおいたハーフォード家を比較しながら論じた。 - 石神隆著『水都ブリストル―輝き続けるイギリス栄光の港町―』(新刊紹介)
単著, 2016年11月, 『都市史研究』3, ブリストルの都市・港湾形成を最新の研究成果と丹念な現地調査に基づいて論じた労作。同港の先行研究のほとんどは貿易や産業に焦点を当てており、都市・港湾の発展・変化を古代から現代までの長期的スパンで分析した本書の意義は大きい。 - 川分圭子著『ボディントン家とイギリス近代―ロンドン貿易商 1580-1941』(書評)
単著, 2018年11月, 『史林』101-6, 本書は、ロンドン商人ボディントン家に焦点を当て、三〇〇年以上の非常に長い期間を扱った研究である。タイトルから想像される商業史、社会経済史の枠にとどまらず、政治史、宗教史の領域にも踏み込んだ間口の広い研究でもある。本書はレヴァント貿易や西インド貿易を扱った商業史研究でもあるが、営業史料を残していないボディントン家を素材としている点に大きな特色があり、貿易史研究として極めて画期的である。著者は二次文献を援用しつつ、書簡などの家族文書、政府文書、新聞雑誌、取引先商人の文書などから同家の事業内容を再構成している。