泉 美帆子
| 健康メディカル学部 理学療法学科 | 講師 |
| 健康科学研究科 理学療法学専攻 | 講師 |
Last Updated :2025/10/07
■研究者基本情報
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学歴
■研究活動情報
論文
- ポリオ罹患者の等尺性収縮運動におけるBorg CR-10(Category Ratio Scale)の妥当性と信頼性
泉 美帆子; 神子嶋 誠; 黒川 幸雄; 高倉 保幸; 川間 健之介
理学療法科学, 2014年
〔目的〕ポリオ罹患者の等尺性収縮運動におけるBorg CR-10尺度値の妥当性と信頼性を検討することである.〔対象〕ポリオ罹患者15名と同年代の健常者45名とした.〔方法〕等尺性収縮運動は膝関節伸展筋で実施した.最大筋力から算出した運動強度(計算値),計算値を視覚的フィードバックによって運動再現した時のBorg CR-10尺度値,Borg CR-10尺度値を運動強度指標として運動を実施した時の筋力(実測値)を測定した.計算値と実測値の一致性,Borg CR-10尺度値と運動強度の相関を検定した.〔結果〕計算値と実測値は中等度から高い一致性が得られ,Borg CR-10尺度値と運動強度の相関は高かった.〔結語〕ポリオ罹患者においてCR-10「4:やや強い」は「筋の過用と廃用」が予防できる運動強度である可能性が示唆された. - スポーツ理学療法に関するシステマティックレビュー
赤坂 清和; 福田 敏幸; 澤田 豊; 泉 美帆子
理学療法科学, 2008年
スポーツ理学療法のエビデンスを調べるために,2000年以降のシステマティックレビュー76件を抽出した。システマティックレビューの対象となった身体部位は,膝関節・下腿,足関節・足部が多く,問題では,疼痛,筋力低下,運動耐容能低下などが多かった。理学療法の治療としては,ストレッチ・モビライゼーション・マッサージ,筋力増強,装具・テーピング,スプリント,物理療法などが多かった。これらの特徴を明らかにすると共に,科学的根拠の観点にてスポーツ理学療法の実践方法を紹介する。
MISC
- 義足の発展と将来展望
泉 美帆子; 青木 主税; 栢森 良二
2018年05月18日
下肢切断者の活動とQOLの向上には,義足の発展が必要不可欠である.本稿では,下腿義足と大腿義足におけるソケット・継手・足部の歴史と現状を記述した.継手の発展はコンピュータで運動を制御するものから,人を動かす力を発揮して運動を行う動力継手が開発されている.ソケットの問題に対しては英国などでは骨直結義肢といった技法が普及しつつある.これらの技術の進歩により,将来,切断前に高活動であった下肢切断者は切断前と同等の活動が可能になると期待する.また,人工知能(AI)やbrain machine interface(BMI)の発展・活用により,高齢切断者の活動をも向上させる義足ができることを期待している., 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 - 東京都多摩市における高齢化の問題 : 生活における移動面に関して(pilot survey)—PROBLEM OF AGING IN TAMA CITY : PILOT SURVEY FOR MOVE IN DAILY LIFE
泉 美帆子
暮らしとリハビリテーション = Journal of living and rehabilitation, 2014年11月
[東京] : [暮らしとリハビリテーション研究会] - ポリオ罹患者の等尺性収縮運動に対するBorg CR-10(category ratio scale)の信頼性と妥当性
泉 美帆子; 川間 健之介; 神子嶋 誠; 黒川 幸雄; 高倉 保幸; 高橋 邦泰
理学療法学Supplement, 2010年
【目的】
ポリオ罹患者の加齢と過用による二次的障害であるポリオ後症候群の管理には過用と廃用による筋力低下の予防が重要とされている。しかし、ポリオ罹患者の筋力低下に対する運動療法に関する報告は、ポリオ後症候群について専門的知識を有しているスタッフがいる環境で実施するものがほとんどである。従って、ポリオ罹患者が如何なる環境においても筋力低下に対して自己管理ができるために、運動強度を自己管理する方法の構築が望まれる。そこで、等尺性収縮運動において過用性筋力低下の予防に効果がある50%MVCと廃用性筋力低下の予防が可能な20%MVCの主観的運動強度尺度(Borg CR-10)の尺度値を明らかにすることを目的とし、ポリオ罹患者と同年代の健常者の膝関節伸展筋で信頼性と妥当性について検討した。
【方法】
対象はポリオ罹患者13名(男性5名、女性8名、平均年齢60.2歳)で13肢(左4肢、右9肢)と、同年代の健常者45名(男性22名、女性23名、平均年齢60.8歳)で45肢(左7肢、右38肢)とした。それぞれ運動制限が無く、少なくとも片側の膝関節伸展筋力がMMTで3以上を有し、同側の膝関節伸展筋に痛みが無いことを条件とした。測定は端座位での膝関節伸展筋の等尺性収縮運動で実施した。まず、最大等尺性筋力MVC(N)を徒手筋力計(アニマ社製のμ-TAS MF01)で測定し、最大筋力の50%MVCと20%MVCを50%計算値(N)と20%計算値(N)とした。次にμ-TAS(MF01)の本体画面に表示される筋力値を見ながら50%計算値(N)に達するまで等尺性収縮運動を実施し、運動時のBorg CR-10尺度値を測定し50%CR-10とした。同様に20%計算値(N)を用いて20%CR-10も測定した。最後に、50%CR-10と20%CR-10で等尺性収縮運動を実施し筋力値(N)を測定した。その時の筋力値を50%実測値(N)と20%実測値(N)とした。そして、20%CR-10と50%CR-10の相関比、計算値(N)と実測値(N)の級内相関係数ICC(1.1)を算出し、信頼性と妥当性について検討した。
【説明と同意】
本研究は筑波大学大学院人間総合科学研究科研究倫理委員会の承認を受け、対象となる個人に研究の説明を十分に実施し、同意書に署名が得られた者のみ測定を実施した。
【結果】
50%CR-10の四分位数範囲は、25%値がポリオ罹患者5、健常者4.5、75%値がポリオ罹患者7、健常者7であった。20%CR-10の四分位数範囲は、25%値がポリオ罹患者・健常者ともに2、75%値がポリオ罹患者・健常者ともに3であった。Borg CR-10の相関比η2はポリオ罹患者.75、健常者.65と高い相関を示した。50%の計算値と実測値のICC(1.1)はポリオ罹患者.82、健常者.87と高い一致性を示した。20%の計算値と実測値のICC(1.1)はポリオ罹患者.49、健常者.57と中等度の一致性を示した。
【考察】
ポリオ罹患者も健常者も、50%MVCと20%MVCに対応した50%CR-10と20%CR-10に高い相関がみられ、そして50%MVCにおける客観的指標(計算値)と主観的指標(実測値)の高い一致性が見られたことより、膝関節伸展筋の等尺性収縮運動を実施する際の過用性筋力低下の予防においてBorg CR-10が主観的運動強度尺度として活用できる可能性がある。そして、ポリオ罹患者においては50%CR-10の四分位数範囲の25%値のBorg CR-10「5:強い」以下の運動強度が過用性筋力低下に対して安全であると考えられる。また、20%MVCの計算値と実測値においても中等度の一致性を示していることから、20%CR-10の四分位数範囲の75%値であるBorg CR-10「3:中くらい」より強い運動強度で等尺性収縮運動を実施することにより、廃用性筋力低下が予防できる可能性がある。また、本研究ではポリオ罹患者と健常者で差異が見られなかったことから、ポリオ罹患者の筋力低下・筋疲労においては、運動強度の自覚は健常者と変わらず、健常者と同様の指標が使える可能性があると考える。しかし、今回の結果は、同日内での一致性を見ていること、対象筋を膝関節伸展筋のみであることから、今後、実施日および対象筋を変えて信頼性と妥当性について検討する必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
本研究の意義は、日本のポリオ罹患者で増加が危惧されているポリオ後症候群の予防と治療のための安全で簡便な運動療法の指標を構築しようとしている点である。次いで、この方法および結果を基に、ポリオ罹患者と同様に過用と廃用による筋力低下が問題となっている神経筋疾患患者の運動療法にも応用できる可能性があると考える。, 日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合) - 理学療法士の立場から--統合失調症患者のリハビリテーション症例を中心に—特集 リハビリテーション関係者が知っておくべき精神科疾患・精神医学 ; 各職種における精神科疾患を合併している患者への対応
泉 美帆子
Monthly book medical rehabilitation, 2009年06月
東京 : 全日本病院出版会 - 脊柱に変形を有した脊髄損傷症例へのシーティングの一考察
遠江 朋子; 泉 美帆子; 清宮 清美; 雪竹 修司
関東甲信越ブロック理学療法士学会, 2009年
【はじめに】今回、当センター入所中に左殿部と大腿部に続けて発赤が出現した脊柱に変形を有した脊髄損傷(Th10損傷)症例に対してシーティングを実施し、一考察を得たので報告する。なお、症例には本学会で報告する目的及び内容を説明し、同意を得た。
【経過と考察】症例は20代女性、右凸の先天性脊柱側弯症に対し中学時代に手術を実施、術後に第10胸髄損傷・完全対麻痺となった。その後在宅生活を経て200×年に当センター入所、車いすは入所4年前に作製したOX社製インテグラルを使用し、座クッションはJ2クッション、背シートはOX社スタンダード背シートと共に側弯の最突部を包み込むウレタンクッションを使用していた。また、入所時の起居動作・ADLは自立していた。入所半年経過後、左大腿外側と左殿部外側に続けて発赤が出現した。原因を1.車いす作製時からの体形変化による両側スカートガード・フレームへの身体接触、2.右凸側弯による体幹右側傾斜および骨盤の左側方傾斜・前方への滑り出しの抑制困難によるものと考えた。左坐骨の接触圧(以下座圧)は200mmHg以上(ForceSensitiveApplications:タカノ社製体圧分布測定器)であった。以上より早期解決のため、2.の背シート・座クッションの検討を行った。まず背シートにJ3ディープバックを用い、体幹の正中保持を可能にするため、症例の脊柱形状に合わせてクッションを入れトータルサポートを実現し、右側にラテラルサポートを設置した。座クッションは、左坐骨へ集中していた座圧を軽減し、骨盤の水平保持を可能にするため左側のジェルを増量した。結果、背については症例の腰痛の訴えが強く座位保持困難となり、背は入所時使用していた背シートとウレタンクッションを使用し、背張りを本人の背の形状に添うように調整した。座クッションは良好な座圧が得られたが症例の違和感が強く、最終的に両側にジェルを増量することで座圧を軽減し本人の違和感のない状態に調整した。調整後、3か月経過した時点で発赤は見られなかった。以上より、本症例は先天性脊柱側弯症の既往があり、中学時代の側弯の術後に脊髄損傷となった為、当センター入所時点では脊柱と骨盤の可動性が乏しかったと考えられた。そのため変形を矯正するシーティングではなく、症例の脊柱形状に沿ったものを選びつつ、動作時の脊柱移動に合わせて接触面が移動する背サポートと座クッションが必要であり、動作を制限しないシーティングが必要であったと考えた。本症例の様に、手術が必要な脊柱変形が車椅子生活以前に生じている場合は、長時間の車椅子座位から生じた脊柱変形に対するシーティングとはアプローチ方法を変えて検討する必要があるという事を学んだ。, 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 - プールを使用しての集団水中訓練:紹介と報告
泉 美帆子; 松嵜 洋人; 遠藤 浩士
職員研究発表集録 / 埼玉県総合リハビリテーションセンター 編, 1998年
上尾 : 埼玉県総合リハビリテーションセンター
書籍等出版物
所属学協会
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 社会的処方の実践は社会的孤立のリスクが高い高齢者の身体活動量を高めるか?
基盤研究(C)
帝京大学
2021年04月01日 - 2025年03月31日
新型コロナウイルス感染症拡大を経て高齢者の社会的孤立が大きな社会課題となっている。我々は、この課題への対処の一つとして社会的処方に着目した。社会的処方とは、医療提供者とリンクワーカー(医療と地域の橋渡し役)が協働して社会的孤立のリスクのある患者を地域の人のつながりにつなぐものである。本研究の目的は、社会的孤立のリスクが高い都市部在住の高齢者を対象に社会的処方の有効性を評価することである。
対象は、東京都杉並区周辺在住で社会的孤立のリスクが高い65歳以上の高齢者とした。参加者はリンクワーカーによって様々な地域活動に斡旋された。主な評価指標は、身体活動量と社会的孤立の有無、主観的幸福感、フレイル尺度であり、6か月間の介入前後で比較された。
研究対象候補者として紹介された24人のうち孤立に該当した者は7人(29.2%)であった。そのうち活動開始から半年後の測定会を待たずして脱落した者1人(継続率:85.7%)であった。参加者のベースライン特性と活動参加状況は、対象者は男性4(66.7%)、年齢は平均78.2歳であった。リンクワーカーによって斡旋された活動は、対象と若者が連れ立って街中を散歩する「高円寺夕焼け散歩」や演劇ワークショップの要素を取り入れた「演劇散歩」などであった。介入後、全ての対象の社会的孤立状況は改善した。また、身体活動量と主観的幸福感、フレイルスコアは改善傾向を認めたが、統計学的に有意ではなかった。
社会的孤立のリスクが高い高齢者を対象にした社会的処方は、社会的孤立を解消し、身体活動量や主観的幸福感、フレイル尺度を改善する可能性がある。 - 脊髄損傷者における座位姿勢と臀部のずれ力-座面傾斜と背もたれ傾斜の影響-
若手研究(B)
帝京平成大学
2013年04月01日 - 2018年03月31日
本研究は、座面と背もたれをそれぞれ4種類の傾斜ができる座位装置で臀部に生じる力と姿勢の変化を測定した。計測に用いた座位装置では全ての座位条件で臀部の圧力が200mmHgを超え、背部の圧力が100mmHgを超えた。ロホクッション使用により仙骨部と左坐骨の圧力と背面圧は減少するが、ずれ力は増加した。また、ロホクッションを用いても仙骨部の圧力は48-60mmHgであった。ロホクッション座位時における臀部のずれ力は矢状面方向よりも前額面方向が大きい値となった。姿勢の変化と臀部に生じる外力には相関が認められたが、本研究で用いた座面傾斜と背もたれ傾斜による姿勢の変化は有意でなかった。