加藤 信二
| 健康医療スポーツ学部 リハビリテーション学科 理学療法コース | 助教 |
| 健康医療スポーツ学部 理学療法学科 | 助教 |
Last Updated :2025/10/07
■研究者基本情報
■経歴
■研究活動情報
MISC
- 介護保険下での福祉用具の適切な利用に関する研究—─介護支援専門員の福祉用具サービス課題の意識調査─
加藤 信二
理学療法学Supplement, 2012年
【はじめに、目的】 福祉用具は介護支援専門員にて給付又は貸与をされているが、ニーズの変化に応じて福祉用具の変更がされているとは言えず、地域によっては必要がないのに支給され、必要があるのに支給されていない現実がいまだに存在する。そこで、介護支援専門員に福祉用具サービス課題の意識調査を行うことで、その課題を明らかにし適正に効率的なサービスが提供できるような制度・仕組みの提言を目的とし行った。【方法】 対象は、千葉県県下の介護支援専門員とし、「福祉用具に係るアンケート調査」の調査票を作成した。本調査は、400部を配布し平成23年10月11日より10月31日までの回答を研修会現地又は郵送回収とした。方法は自記式、無記名で46項目84の設問を以下の内容で尋ねた。1.調査対象者の個人属性と特徴は、年齢・性別、実務経験年数、基礎資格の職種、現在の勤務場所、同一法人の福祉用具事業所の有無、福祉用具選定経験の有無、福祉用具取り扱いに関係する資格とした。2.福祉用具の価格、給付方法、利用者・家族への意識について。3.アセスメント・マネジメント(苦手分野、負担感、重要性、今後の在り方等)について。4.福祉用具その物と効果(目的、費用対効果)について。分析方法は、主に単純集計を用い集団の傾向をみた。また、属性はクロス集計を行い検定には統計解析ソフトSPSS19を使用した。【倫理的配慮、説明と同意】 個々の調査データーについてはコンピューターにより統計処理し、秘密厳守とプライバシーを守り研究活動以外には利用せず、調査に協力していただいた方の支障にならないように文書で細心の注意を払った。【結果】 回収数は169名(回収率42%)で、全てを対象とし欠損値についてもそのまま計上し統計学的処理をした。2の価格と情報、家族については、45%(75名)が平均価格帯を知らず価格意識に差があった。3のアセスメント・マネジメントの苦手分野では基礎職種が介護福祉士であることから医療、リハビリに苦手意識を6割が持っていたが、福祉用具・住宅環境はそれほど高くはなかった。アセスメント・マネジメントの負担感では、専門的な福祉用具の選定や価格、製品の情報について負担感を感じている者もいるが情報収集・連絡調整に関しては少なかった。アセスメント・マネジメントの重要なことは、福祉用具のアセスメントの重要性や知識が必要な意識は高く、経験年数に比例した。「しているADL」と「できるADL」の違いについて6割が知っているが4割は知らない傾向であった。福祉用具を選ぶ上で機能性を重視しているが価格は比例していなかった。今後のアセスメント・マネジメントの在り方では、心身状況の把握項目において88.8%が理学・作業療法士の専門職にアドバイスを求めていた。リハ専門職等の重要性は意識しているが意見書を求めたり移譲に関しては慎重な態度が伺えた。福祉用具相談員がサービス担当者会議を通じてケアマネジメントの目的を確認していると思う者が6割のみで、福祉用具相談員に平成24年度から予定されている個別援助計画作成の義務付けを65.7%が把握していなかった。福祉用具相談員に対してもその重要性は認識しているも役割を十分認識しているとは言い難く、リハ専門職同様に連携や役割分担が不明確と考えられた。4の福祉用具その物については、電動機能を介護者本人が使っていないと思う者が6割近くいた。自立支援ベッドについては自立機能が必要と感じつつもわからない者が多かった。費用対効果については、無駄をなくすことを意識しているも行えているかわからない者も多かった。【考察】 福祉用具の中でも特殊寝台の課題は大きく介護支援専門員にとっても大きな負担になっている。退院時の福祉用具の選定やモニタリング時にその必要性について専門職の役割を法的に位置付け、介護支援専門員を支援する仕組みを作ることが重要である。無駄をなくし限られた財源を効率的に使うためには、自立支援ベッドの開発、指定品目として位置付けることも重要である。そして、これらのことが介護保険を持続可能な制度にする一役を担うことを論じていく。【理学療法学研究としての意義】 今回の介護支援専門員の意識調査は、厚生労働省でも審議されている福祉用具の問題に対し、その構造を明らかにし提言することが課題解決の糸口にもなり意義がある。, 日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合) - 大都市民間病院の老人デイケアーの試み
理学療法学, 1993年04月
筆頭著者