高野 光司

健康メディカル学部 心理学科講師
Last Updated :2025/11/05

■研究者基本情報

学位

  • 修士(教育学), 早稲田大学, 2008年03月

研究キーワード

  • 暴力事犯者への処遇
  • アンガーマネジメント
  • 犯罪からの離脱

研究分野

  • 人文・社会, 臨床心理学

■研究活動情報

論文

  • 感情の自己理解を深めるための心理教育プログラムの開発―対人関係に苦手意識を持つ中学生を対象とした小グループでの実践―
    岡田 佳子; 高野 光司; 塚原 望
    学校メンタルヘルス, 2015年
    【問題と目的】本研究では,対人関係に困難を抱えている中学生を対象としたソーシャルスキルトレーニングの一環として,感情の自己理解を深めることを目的とした心理教育プログラムを開発することを目的とした。

    【方法】8つの下位目標を設定し,下位目標と対応させて全部で5回のプログラムを作成した。プログラムの参加者は,対人関係に苦手意識を持つ中学生10名(男子5名,女子5名)であった。10名の中には専門機関で高機能自閉症,アスペルガー症候群やAD/HDなどの診断を受けている者も含まれていた。プログラムは男女別々に実施された。プログラムの効果を検討するために,情動知能,心理的ストレス反応の測定およびふりかえり用紙を用いた自由記述の収集が行われた。

    【結果】情動知能では,対応のあるt検定の結果「私は何か起こった時に,自分がどうしてそんな気持ちになったのか,たいてい理由がわかる」,「私は,自分自身の気持ちをコントロールするのが上手だ」の2項目において実施前に比べて実施後の方が得点が有意に高くなっており,中程度の効果量が示された。また,心理的ストレス反応では,対応ありの1要因分散分析の結果,「怒り」と「不安」でプログラム1回目に比べてプログラム4回目のストレス得点が低減している傾向があることが示された。

    【考察】(1)「プログラムによって感情の自己理解が深まる効果」,およびプログラムの派生的な効果としての(2)「他者の感情理解に及ぼす影響」,(3)「感情のコントロールに及ぼす影響」,(4)「ストレス反応の低減に及ぼす影響」の4点を検討した。(1)(3)(4)については,プログラムの効果を積極的に示すには至らなかったが,部分的に支持する結果が得られた。(2)については,感情の自己理解プログラム単体では他者の感情理解に対しては効果が得られないことが示唆された。これより,本プログラムで目標とした感情の自己理解の力を他者理解や対人場面でのスキルに生かしていくためには,自己の感情理解をベースに他者理解やソーシャルスキルのプログラムを組み合わせて実施していく必要があることが示された。一方,本研究の課題として,本研究は参加者が少ないため結果の解釈は慎重にならなくてはならず,今後も実践を繰り返してプログラムの効果検討と改善を行う必要があるだろう。

書籍等出版物

  • 学校現場で役立つ 生徒指導・進路指導 教師をめざす人のために               
    分担執筆, 第6章 少年非行
    北大路書房, 2025年03月
    9784762832789

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ボーダーライン知能の少年に対するアンガーマネージメントプログラムの開発
    基盤研究(C)
    早稲田大学
    2011年 - 2013年
    暴力や非行を繰り返す少年らには、感情のモニター力、自己制御機能とソーシャルスキルが不足している。本研究は、IQ70代のボーダーライン知能の少年に活用できるアンガーマネージメントプログラムの開発を目的とした。3年間の研究成果として、VRICS(Violence Risk Check Sheet)の作成と妥当性の検討、少年院・刑務所内で活用できるプログラムの開発、学校現場で活用できる啓発教育教材の開発とその実践により衝動性の減少および主体性の促進の効果が見られた。。アンガーマネージメントBプログラム(非行少年用)、Cプログラム(中学生用)が開発され、矯正教育施設および学校内で活用が開始されている。

■大学教育・資格等情報

主な担当授業科目名

  • 司法・犯罪心理学

資格、免許

  • 2010年01月01日 - 2021年12月31日
    学校心理士
  • 2019年02月01日
    公認心理師