村山 佳代
| 人文社会学部 人間文化学科 福祉コース | 講師 |
Last Updated :2025/11/03
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論文
- 判例研究:大阪地裁令6年12月23日判決・令5年(わ)4920号
村山佳代
問答集学校事故の法律実務, 2025年06月 - 判例評釈:名古屋地裁令6年1月30日判決・令2(ワ)4014号
村山佳代
問答集学校事故の法律実務, 2025年06月 - 障害者権利条約初回対日審査における 日本政府対応の問題点 :インクルーシブ教育と包括的性教育に焦点を当てて
村山佳代
社会福祉学, 2024年06月, [査読有り]
筆頭著者, 本稿は2022年8月に行われた障害者権利条約の初回対日審査を対象とし,インクルーシブ教育と性被害・犯罪予防と包括的性教育に焦点を当て,日本政府回答および現行障害者法制の問題点を整理する.政府回答は,障害者権利委員会から勧告を受け得る法政策・解釈について報告をせず,障害児教育の現状から乖離したものであった.具体的には,インクルーシブ教育に関し①分離教育を強化する文科省解釈・通知,②医学モデルに依拠した就学決定,③就学決定訴訟,④個別指導計画不作成を許容する判決,に触れなかった.また性被害・犯罪予防に関し政府は(a)刑事法検討会報告書,(b)妊娠の経過を取扱わないと明記する学習指導要領,(c)包括的性教育を行った教員の行政処分事例を報告しなかった.このように,政府回答に問題はあったが,総括所見はインクルーシブ教育と包括的性教育の保障を勧告しており,日本の障害者法制にとって重要な一歩となろう. - 教育における合理的配慮の権利性と判断基準
村山佳代
障害法, 2023年11月, [査読有り]
我が国は、障害者条約批准に伴う国内法整備の一つとして合理的配慮を規定する障害者差別解消法を2016年に施行した。しかし、我が国の行政解釈では合理的配慮の権利性が弱められており、合理的配慮の法的基盤が不十分である。本稿は、障害者差別解消法施行後、初めて、医療的ケア児への合理的配慮が争われた公立小中学校における喀痰吸引に必要な器具請求等事件を対象として、合理的配慮の権利性と判断基準について考察をする。
本判決は、障害者差別解消法の合理的配慮は公法上の義務であり、障害者に請求権を付与するものでないと判断した。しかし条約は、合理的配慮を障害者の平等達成の核とし、その不履行を差別と規定している。条約適合的に解釈をすれば、障害者は合理的配慮の不履行に対し訴権を有している。条約批准の最も大きな意義の一つは、障害者が合理的配慮の請求権を得たことにある。
また本判決は、保護者と学校の負担を並列に扱い、行政裁量を広く容認したが、条約は、合理的配慮の提供可否の判断に障害者側の負担を考慮しない。CRPDの一般的意見は、合理的配慮の射程範囲を広く捉え、その不履行を厳しく制限している。合理的配慮不提供が認められるのは、合理的配慮提供が提供者側に過度な負担を課す場合に限られる。合理的配慮に要する負担の立証責任は障害者側のものではない。また、本判決が保護者の負担を認める根拠として憲法26条を用いたことも同条の拡大解釈であった。
本判決は、障害者の合理的配慮の請求権を否定するだけでなく、合理的配慮の判断基準を誤っており、条約から乖離するものであった。条約は、合理的配慮によって、障害児と非障害児が同じ教育的利益を享受することを求めているのではなく、障害児の能力の最大限保障を目指している。障害児の成長発達権の保障のためには、合理的配慮が不可欠であり、その請求権を認めなければならない。アメリカ法は障害児教育について合理的配慮という文言を使用していないが、1999年の連邦最高裁判決によって、医療的ケア児の就学に要するサービス提供に関し、障害児が普通教育に参加するために必要で、医師以外の者が提供するサービスならば、学区が提供せねばならないサービスに該当するとし、コスト負担のみを理由に提供可否を判断することを禁じている。我が国は医療的ケアを合理的配慮と捉えることによって、提供者側が過度な負担を立証した上で、医療的ケア児に必要なサービスの提供可否が判断されなければならない。 - 判例評釈:神戸地裁令4年5月25日判決・平30(ワ)2097号・平成30(ワ)2098号
村山佳代
問答集学校事故の法律実務, 2023年06月, [招待有り]
筆頭著者 - 判例評釈:静岡地沼津支令3年5月26日判決・平29(ワ)120号
村山佳代
問答集学校事故の法律実務, 2022年06月, [招待有り]
筆頭著者 - 判例評釈:福岡高判令2年7月6日判時2483号38頁
村山佳代
問答集学校事故の法律実務, 2021年11月, [招待有り]
筆頭著者 - 判例研究:福岡高判平31・3・27裁判所ウェブサイト
村山佳代
問答集学校事故の法律実務, 2021年06月, [招待有り]
筆頭著者 - 障害児教育と合理的配慮:アメリカ障害者教育法における「無償かつ適切な公教育」の解釈
村山佳代
獨協法学, 2021年06月, [招待有り]
筆頭著者 - Family caregivers’ liability for damage inflicted by persons with dementia under their care: A study of the 2016 Japanese Supreme Court ruling
Kayo Murayama
Journal of Social Welfare and Family Law, 2021年05月, [査読有り] - 差別禁止の延長としての合理的配慮
村山佳代
社会政策, 2019年03月, [査読有り]
障害に基づく別異取扱を求める合理的配慮は,均等待遇を原則とする憲法に反するという解釈がある。本稿の目的はアメリカの学説分析を通し,合理的配慮の憲法上の権利性を立証することである。日本国憲法はアメリカ憲法の影響を受けており,「障害者の権利に関する条約」は「障害のあるアメリカ人法(ADA)」をモデルとしているため日本の条約解釈にとってアメリカの学説分析は有用である。
ADA制定史に反し,Garrett連邦最高裁判決は憲法が別異取扱を認めないことから合理的配慮の権利性を否定した。しかし,学説は伝統的反差別法理が実は配慮を要求し,合理的配慮と同じ目的を持つ点から合理的配慮の憲法上の整合性を明らかにしている。現行のアメリカ判例法と我が国の障害者法制は合理的配慮を障害者の権利とする障害者権利条約の国際潮流に反しており,合理的配慮を憲法上の権利とする解釈変更が期待される。 - 障害者の権利としての合理的配慮
村山佳代
早稲田大学博士学位論文, 2019年01月, [査読有り]
筆頭著者
書籍等出版物
講演・口頭発表等
- 障害児の学習権保障と合理的配慮:アメリカの障害児教育法( IDEA )の判例分析を中心に
村山佳代
日本社会福祉学会第69回秋季大会, 2021年09月12日 - 割当雇用率制度によって雇用された障害者への合理的配慮
村山佳代
日本社会福祉学会第68 回秋季大会, 2020年09月13日 - Rights of Persons with Disabilities and Capitalism: Three Aspect of Reasonable Accommodation
村山佳代
Social Work, Education and Social Development 2018 Conference, 2018年07月04日 - Human Rights and Dementia: Are Family Caregivers Liable for Damages?
村山佳代
The 21st International Association of Gerontology and Geriatrics, 2017年07月25日 - 認知症者の自立した地域生活と家族介護者の責任:精神障害者の加害行為と監督義務者責任に関する判例分析
村山佳代
第22回日本在宅ケア学会学術集会, 2017年07月 - A Study of Accommodation for Persons with Disabilities: Ensuring Substantial Equality for Persons with Disabilities
村山佳代
The 23rd Asian and Pacific Association for Social Work Education Conference, 2015年10月22日 - 「障害を持つアメリカ人法」における合理的配慮と均等待遇原則:アメリカにおける学説を中心に
村山佳代
日本社会福祉学会第62回秋季大会, 2014年11月 - イギリス障害者差別禁止法の研究:雇用分野における合理的調整義務を中心として
村山佳代
2013年度社会福祉学会関東部会研究大会, 2014年03月
Works_作品等
- 「ソーシャルアクションが障害者法制を変える:障害者権利条約初回対日審査」被処分者の会通信141号10頁
村山佳代
2022年12月 - 現在, その他 - A Study of Accommodation for Persons with Disabilities: Ensuring Substantial Equality for Persons with Disabilities in The 23rd Asian and Pacific Association for Social Work Education Conference Proceedings pp. 78-86
Kayo Murayama
2015年10月 - 現在, その他
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 障害者の平等権としての合理的配慮(研究代表者)
若手研究
2019年04月 - 2024年03月
米国障害児教育法(IDEA)は障害児への「無償かつ適切な公教育」提供を目している。この「適切」の内容は、1982年判決では公教育へのアクセスのみを意味していた。しかし、2017年判決は、適切性の段階を上げ、障害児の能力最大限保障に近づこうとしていた。IDEAは、合理的配慮以上の質の教育内容の質を求めていた。雇用分野における合理的配慮は、障害者が直面する障壁を除去した上で非障害者と同じ競争の遡上で労働能力を判断し評価する「機会保障の基盤」であった。しかし、障害児の学習権保障は、障壁除去のみでは不十分である。IDEAは、障害児の発達の結果保障までを要求していると考えられる。 - 差別禁止と合理的配慮:障害者の社会参加のための合理的配慮(研究代表者)
2018年04月 - 2019年03月 - 障害者の権利と自立:英米の障害者差別禁止法における判例研究を中心として(研究代表者)
2015年04月 - 2016年03月